File002_人見知りアイコスとブリーチ

仮名ドナルド(25)


ID  千葉

      Eカップ

      元美容師

      

「私めっちゃ人見知りでー、申し訳ないとおもっちゃうから、誘われると断れないんですよねえ」

 


きたああああ

電車男並みに歓びを叫んだのちおれは急遽錦糸町でアポをとりつけた。

 


「金夜ですよね?あたしお店並べない」

 


居酒屋を予約。ついでにラブホを予約。

 


「ホテル難民だるいから、予約したわ!アイロンこの種類でいい?」

 


とスクショを送ってもありがたいーと好感触。これは勝ち確。リゼロの6くらい。

 


ぽっちゃりよりも少し太め。黒のダウンにプラダの黒バック。マイケルコーズの金時計。

髪はブリーチで少し痛んだ金髪。

 


「髪友達に切ってもらってるんですけど、まぢで陰毛」

 


まぢぃ

LINEの会話の「まじ」は全部「まぢ」だった。直接の会話でも脳内変換される。

 


ソファで彼女のアイコスを借りて吸う。

軽く太ももに触れながら顔を近づけてみる。

 


「やだあ、恥ずかしい。むり。」

と言うものの息は荒い。

 


半ば強引にキスをすると、ドナルドのやる気スイッチに火がついたようだ。かなり強めに唇を吸ってくる。しかも上になってきた。

 


風呂をためたままにしていたので、そろそろ見にいくかと立ち上がろうとすると、強めに抱きしめてくる。like だいしゅきほーるど

「行かないでえちゅーして」

 

 

 

居酒屋での一コマがフラッシュバックする。

 


「あたし人見知りすぎて、専門で友達7ヶ月できなかった。喋らないから後輩にはめっちゃ怖がられるし。でもね、仲良くなったらめっちゃ甘えるし、声でかくなるの」

 

ああ

たしかにあえぎ声がでかい。

こっちが心配になるくらい。

人見知りの反動だろうか。

 


2回戦、キスで口がとれそうだ。

 

 

 

ウォルトディズニーは人種差別主義者。アイコスを吸いながら彼女はそんな話をしていた。月一で年パスを買わない理由は義務感が生まれて楽しめなくなるから。すきなプリンセスはベル。iPhoneケースはスティッチ。

 

 

 

翌朝、ホテルを出たのは8時45分。

雨がパラパラと降っていた。

 


間違いなく今季一番の寒さだろう。

 


少しきまずそうにするその横顔を見ながら、ホテルのライターにデカデカと書いてある「錦糸町」という文字を見せながら視線をもらう。

 


昨日口がとれそうなくらいキスされたこと。

それは思ったことを目を見ながら素直に言うことができない彼女なりのメッセージだったのかもしれない。生理中だから溜まってただけ、酔うとキス魔になるだけなのかもしれないが。

 


本当のことはわからない。

 

 

 

つけすぎているジミーチュウの香水は強烈に昨日の夜を思い出させる香りだった。

 

 

to be continued...