足の先は濡れて

2018年になりました。

 

あっという間に1月も過ぎ、雪が降ったり降らなかったりしています。

 

雪が降ると思い出す光景があります。

 

アスファルトに雪が積もり、ぐちゃぐちゃに雪が変色した道路。変な色のライトに照らされ、

「ご休憩ご宿泊割引中♪」が表示された電光掲示板。普段は住宅地のど真ん中にあるせいで違和感しか放っていないラブホテル。

 

雪が光を反射してなぜか驚くほど美しく見えたのです。

 

「多分これがこんなに綺麗に見えることはもうないんじゃないか」

 

そんなことを思ったのを覚えています。

 

 

一緒にいた人は恋人ではありませんし、どちらかといえば自分の肉欲、性欲の赴くままにろくに飲めない酒の勢いで外に連れ出した人と見た光景でした。

 

でもその光景は綺麗で明るくてこんな未来が待ってるはずだと信じて疑わなかった。キラキラした素晴らしい出来事、そんなことが起こっていくと。

 

寒い寒いと肩をすぼめながら、歩く道は例によって泥だらけで靴はすぐにぐちゃぐちゃになりました。結局、そのホテルには入らず友人達のいるところに戻り朝になりました。

 

大人になることとは自分に期待しなくなること。そして人生の主人公が自分ではないと感じ始めること。なんて最近は考えています。

 

まだ自分への期待は捨てきれていませんがスッとさりげなく捨てられた時、あの時感じていた無条件に明るい未来のことは思い出せなくなるのでしょうか。

 

そしてその瞬間がまさに大人になるということなのかも。

 

まだ大人にはなれそうもありません。

タバコもやめられてません。

酒は相変わらず飲めません。

人を愛することもよくわかっていません。

部屋は汚いし、洗濯物は溜まっています。

 

あの景色をまだ覚えています。